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マンションの大規模修繕工事は何年目に行うのがベストなのか

大規模修繕の豆知識 2022.01.05 (Wed) 更新

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マンションを所有しているオーナーさんや大家さんは、大規模修繕を何年目に行うべきかご存知ですか?

マンションのような集合住宅は、見た目や機能性の衰えが、入居率や居住者の定着などに影響を与えます。
修繕工事を適切な時期に行えば、資産価値をあげることもできるでしょう。

この記事では、マンションの大規模修繕は何年目に行うべきなのかについて解説します。

 

マンションの大規模修繕は築何年目でするのがベストなのか

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マンションの大規模修繕は、1回目は12年、2回目は24年、3回目は36年目のように、12年ごとを目安とする場合が多いです。

劣化が進んでいたり、故障があったりする場合は、12年よりも早い時期に行わなければならないこともあります。

しかし、当初の予想よりも劣化症状が進んでいない場合は、時期をずらすことも可能です。
また、国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、1回目は13〜16年、2回目は26〜33年、3回目は37〜45年で行うとしています。

 

マンションの大規模修繕が12年目とされている理由

一般的な目安は12年目と説明しました。

しかし、国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」で報告されている実際の年数とは異なります。
それに戸惑う人もいるのではないでしょうか?

その理由には、以下の4つが考えられます。

・国土交通省「マンションの改修・建替え等について」で推奨されているから
・建築基準法「外壁の全面打診調査」の義務化がされているから
・国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」に記載されているから
・塗料や外壁材の耐用年数や保証期間に合わせるから

それぞれの項目を詳しく解説します。

国土交通省「マンションの改修・建替え等について」で推奨されているから

国土交通省「マンションの改修・建替え等について」の中で、計画修繕の重要性と、12年ごとの修繕をすすめており、それをもとにしている業者が多くあることが考えられます。

建築基準法「外壁の全面打診調査」が義務化されているから

平成20年に建築基準法の一部が改正され、建造・改築から10年が経過している建物では、「全面打診調査」が義務化されました。
「打診調査」は、打診棒やテストハンマーを用いて、モルタルやタイルなど外壁が浮いているかどうか調べるものです。

以前は「打診調査」や、「目視検査」に異常がある場合に、全面打診調査が行われました。
しかし、法改正をしてからは、全面打診調査が必須となったのです。

全面打診検査の期限である10年のほか、全面打診検査免除の例外条件である外壁改修工事の実施期限である3年以内を合算した、築13年以内ということも、12年とする所以のひとつといえます。

国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」に記載されているから

国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」には、大規模修繕工事の周期が12年程度という記載があります。

長期修繕計画とは、建物の経年劣化に対応した適切な修繕工事を行うための計画表です。

施工業者の中には、国土交通省がこれを推奨しているので、参考にしている場合があります。

塗料や外壁材の耐用年数が12年前後だから

塗料や外壁材などの耐用年数や、保証期間の多くが12年前後であることも理由のひとつです。

外壁塗装によく使われるシリコン塗料の耐用年数は8〜15年、屋上や床防水の耐用年数の平均は10〜15年、外壁材は種類によって耐用年数が変わりますが、メンテナンスは10〜15年の間隔で行われます。

 

マンションの大規模修繕は15〜18年目で行うことも可能

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長期の保証がされている建物の場合、周期を15〜18年に延ばすことができます。

周期を延ばすメリットは、修繕回数が減ることと、回数が減ることに伴い、修繕費用を抑えられることです。
デメリットは、一般的な修繕周期を過ぎるため、劣化が進んでしまう可能性があることです。

大規模修繕の周期を延ばすことは、不可能ではありません。
塗料や外壁材の耐用年数、メンテナンス期間などを参考に、点検やメンテナンスを行うようにしましょう。

 

マンションの大規模修繕時期を何年目にするか決める方法

では、マンションの修繕時期を何年目にするのかについて、実際はどのように決めるのでしょうか?
大規模修繕の時期を何年目にするのか決めるための方法には、

・長期修繕計画の確認
・修繕委員会での話し合い
・建物診断

の3つがあります。

長期修繕計画を確認する

長期修繕計画は、実際にどのような工事がいつ必要なのかがわからないため、都度、計画を確認、見直す必要があるのです。

大規模修繕は、長期修繕計画をもとに行います。
長期修繕計画は、5年ごとに見直すことが推奨されています。

理由は、計画をしたときに予想していたよりも劣化症状がひどくなったり、時代の流れとともに材料の値段や物価が変動したりすることがあるためです。

長期修繕計画を見直せば、無駄な修繕を省けて、費用も抑えられますし、修繕のタイミングの検討にも役立つでしょう。

修繕委員会で話し合う

実際の修繕時期は、修繕委員や専門家などとの話し合いを持って決まります。

修繕委員会とは、マンションの居住者で構成された、大規模修繕の専門委員のことです。
大規模修繕を適切に進めるために、居住者からの意見を調整してまとめたり、修繕する目的の確認、時期などを決めたりするのが仕事です。

委員会を構成するメンバーに修繕の知識がない場合は、コンサルタントや管理会社に意見を求めて検討しましょう。

建物診断する

建物診断とは、劣化状況を把握する診断のことです。
マンションの劣化症状を把握することで、修繕の順番や必要性の有無、時期を検討できます。

この結果を参考に、長期修繕計画の見直しも行います。
オーナーさんや修繕委員会によっては、最初に立てた長期修繕計画を見直さず、ずっと使い続ける場合もあります。

しかし、時間を経れば、劣化箇所やその進行具合が変わるものです。
次の大規模修繕を無駄のない工事にするために、定期的に見直すようにしましょう。

 

マンション大規模修繕の周期別の修繕ポイント

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1回目、2回目、3回目で、修繕すべき箇所が変わります。
周期別の修繕ポイントを、国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」を参考に紹介します。

1回目の修繕では、外壁塗装や床防水、屋根防水などが、主な修繕箇所で、新築時のような状態まで回復させるために行います。

2回目は、1回目の修繕箇所にプラスして、給水設備が増えます。
1回目よりも踏み込んだ内容の補修を行い、マンションを長く維持していくための基礎を作る工事です。

3回目は、建具金物の比率が高くなります。
建具金物とは、窓や出入り口などの建具に用いる金物のことです。
マンションを総合的に見直す時期とされ、寿命を延ばすための機能面の向上を目的にします。

 

マンション大規模修繕は12年目にこだわる必要はない

大規模修繕の周期は、12年ごとに行うのが一般的です。

しかし、そのときの劣化症状や修繕計画の見直しなどを行ってから決めるほうが、工事内容の無駄を省けます。
建物の状態や劣化症状を参考に、大規模修繕を何年目で行うのか決めましょう。