借入や一時金で大規模修繕費の不足を補填するには?主な借入先も紹介
「大規模修繕の費用が足りなくなったときの資金調達方法を知りたい」
「大規模修繕の費用が足りなくなったときは借入できる?」
など、費用が足りなくなったときの対策について知りたいオーナーさんや、大家さんは多いのではないでしょうか?
この記事では、借入や一時金など、大規模修繕の費用が足りなくなったときの補填方法や主な借入先などを紹介します。
大規模修繕の積立金が足りない場合の調達方法
大規模修繕は、居住者から徴収する「修繕積立金」をベースに行います。
しかし、事前の修繕計画に反して劣化症状が進んでおり予定よりも修繕箇所が多くなると、用意した資金では不足するケースがあります。
そのときは、
・借入
・一時金の徴収
・管理費の節約
・工事の日程を改める
などの、費用の捻出方法を試してみましょう。
借入をする
公的機関や金融機関から、修繕費用を借入する方法です。
借入は、入居者への負担がかからない点がメリットです。
しかし、期限までの返済義務があるため、結果的に居住者から徴収する月々の修繕積立金を増額する必要があります。
一時金を徴収する
一時金とは、月々徴収する修繕積立金とは異なり、臨時に集める費用のことです。
マンションによって変わりますが、大規模修繕のタイミングや5年・10年・15年というサイクルなどで集められるのが一般的です。
管理費を削減する
マンションの管理費を削減し、そのぶんを修繕積立金に回す方法もあります。
この方法なら、居住者の負担が少なく、借入や一時金を借りたときのような金利もないため、取り入れるハードルが低いといえます。
管理費は、過剰な金額設定がなされているケースもあるので、一度見直してみましょう。
工事の日程を改める
大規模修繕の工事を延期することも、資金が不足したときの手段のひとつです。
延期した期間で、資金を貯めるようにしましょう。
延期する期間が長いと建物の劣化が進み、より修繕費用がかかる場合も考えられます。
工事を行う日程をはっきりさせておくと、資金が集めやすくなるでしょう。
大規模修繕の積立金が不足したときの主な借入先
大規模修繕の積立金が不足しているときに利用できる主な借入先は、
・住宅金融支援機構
・銀行
・クレジット会社
などがあります。
住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」
住宅金融支援機構は、国土交通省住宅局と財務省大臣官房政策金融課が管轄の政策金融機関です。
その住宅金融支援機構が取り扱うのが「マンション共用部分リフォーム融資」となります。
大規模修繕の借入先として、最もポピュラーな機関のひとつです。
外壁と内壁の塗装、屋上防水、バルコニー補修、階段と廊下の補修、エレベーターの補修などを、低い、期間固定金利で融資してくれます。
管理組合申し込みの場合と、区分所有者申し込みの場合があり、それぞれ融資の条件が異なります。
返済期限は、1年以上10年以内です。
耐震改修や断熱化工事など、特定の工事を行うケースでは、20年以内の返済にすることができます。
銀行の融資
銀行にも、マンション共用部分の専用リフォームローンという大規模修繕向けの融資制度があります。
借主は、管理組合および管理組合法人です。
借入金額には、工事費の80%以内や最大150万円×住宅戸数、2億円以内などの規定があります。
お借入期間は、10年以内としている銀行が多いです。
クレジット会社
クレジット会社からも借入できます。
クレジット会社とは、販売信用の取引をしている会社のことです。
会社によりますが、融資金額は100万円〜5億円で設定されている場合が多いです。
返済方式が毎月の支払額が一定の「元利均等分割返済方式」の場合、1.0〜3.0%の金利が相場になります。
住宅金融支援機構に比べると、融資条件が厳しくありません。
公的金融機関の融資条件を満たせないときの選択肢にするとよいでしょう。
借入や一時金の徴収が必要になる修繕積立金のトラブル
借入や一時金の徴収が必要になる、大規模修繕の修繕積立金トラブルを紹介します。
資金が不足しそうなシチュエーションには、
・修繕積立金を少なく見積もったため不足した
・長期修繕計画の見直しで見積もり金額が高くなった
・滞納者がいる
という、3つが考えられます。
修繕積立金を少なく見積もったため不足した
当初の修繕積立金を、少なく見積もっていることがあります。
修繕積立金が低く見積もられていると、オーナーはマンションを購入しやすく、居住者は入居しやすいのがメリットです。
しかし、設定された金額が低いままでは、修繕金が足りなくなる可能性があります。
そのため、数年ごとに値上げすることを計画しているマンションは多くあります。
問題は、あとあと値上げをしようとしても、居住者の反対にあって徴収が難しくなったり、滞納につながったりすることです。
入居前の人に積立金が値上がりすることを事前に告知しておくと、理解が得られやすくなります。
長期修繕計画の見直しで見積もり金額が高くなった
長期修繕計画の見込みが甘かったり、見直したりすることで、当初の予想よりも見積りが高くなることがあります。
マンションは古くなると劣化している箇所が増え、突発的な修繕を行わなければならなくなる場合も出てくるでしょう。
そうすると、大規模修繕時に資金が不足する可能性があるのです。
対策としては、不足しそうだということを早い段階で理解し、金融機関からの借入や、入居者から一時金を徴収するようにしましょう。
滞納者がいる
入居者の高齢化もあり、修繕金の滞納者も増えています。
所得が低い入居者が多いと、毎月の支払いを滞納する人も増えやすいため注意が必要です。
修繕積立金や管理費の滞納は、マンションにとって大きな痛手になります。
書面や電話で督促をしたり、訴訟を起こしたりしなければならない場合も出てくるでしょう。
また、滞納者に競売を申し立てて徴収しなければならないケースもあります。
大規模修繕の積立金不足を生まないための方法
最後に、大規模修繕の修繕積立金の不足を生まないための方法を解説します。
対策は、以下の3つです。
・定期的に長期修繕計画を見直す
・定期点検やメンテナンスをする
・見積もりを複数取ったうえで業者を選ぶ
これから大規模修繕を行う予定があるオーナーさんや大家さんも、次の大規模修繕に向けて資金を貯めたいという人も、ぜひ参考にしてください。
定期的に長期修繕計画を見直す
国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、長期修繕計画は、5年ごとに見直すことが推奨されています。
それは、長期修繕計画の内容はおおよその予定で、不確定なためです。
長期修繕計画の中身を見直すことで、実際に必要な修繕箇所や費用を知ることができ、無駄な手間や出費を省けるようになります。
定期点検やメンテナンスをする
1回の大規模修繕のときに修繕すべき箇所が多いと、一気に資金を必要とする場合があります。
定期的に点検やメンテナンスを行うことで、大規模修繕のときにまとめて直す必要がなくなります。
長期修繕計画の見直しと同じく、定期的に点検やメンテナンスをすることで、大規模修繕時の手間や費用を少なくできるでしょう。
見積りを複数取ったうえで業者を選ぶ
2〜3社の業者から見積もりを取ることを、「相見積もり」といいます。
見積もりを比べて、より価格を抑えた質の良い工事をしてくれる業者が選べます。
一般的なリフォーム工事も然ることながら、大規模修繕の際にも有効です。
借入や一時金の徴収が発生しない大規模修繕の計画を立てよう
大規模修繕の修繕積立金は、どうしても不足することがあります。
その場合、借入や一時金を徴収して修繕を行うのも方法です。
しかし、借りたものは返さなければならず、居住者の反対にあえば、うまく徴収できないこともあるかもしれません。
定期的に長期修繕計画を見直したり、点検、メンテナンスを行ったりして、修繕積立金が不足しないよう計画を立てましょう。