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大規模修繕を成功させるためのチェックポイントとは?

大規模修繕の豆知識 2022.02.05 (Sat) 更新

大規模修繕15-min

大規模修繕は、1回目だと築13〜16年目で行われる工事です。
毎年のように行うものではないため、毎回やり方をチェックしているというオーナーや大家さんは多いのではないでしょうか。

この記事では、大規模修繕を成功させるためのチェックポイントを紹介します。
修繕箇所、業者選び、見積もりのチェックポイントを一緒に確認し、準備と工事を着実に進めましょう。

大規模修繕を成功させるためのチェックポイントとは?

ポイント2-min

大規模修繕は、大家さんやオーナーにとって財産である建物を長く使うために欠かせない工事です。
建物の寿命を左右するといっても過言ではありません。

そんな大規模修繕を成功させるために、チェックしておきたいポイントには、

・修繕箇所
・業者
・見積もり

の3つがあります。

修繕箇所

修繕箇所は、大規模修繕で直す箇所のことを指します。
大規模修繕では、工事の回数や劣化症状の進行具合で修繕箇所が異なります。

修繕する箇所が増えれば、費用も大きくなるのが一般的です。
修繕が必要な劣化症状の種類や、起こりやすい箇所などを事前に知っておくと、修繕にかかる費用の見当をつけられるようになります。

業者

工事の仕上がりは業者次第、といっても過言ではありません。
大規模修繕がうまくいけば、結果として、建物への入居者の満足度や入居率にも影響を与えます。

適正な業者を選ぶことで、建物の寿命を伸ばしたり、資産価値を上げたりできるでしょう。

見積もり

見積もりは、工事内容や費用だけではなく、業者について知る手立てでもあります。
普段、生活していてよく目にする書類ではないため、どこに注目すればいいかわからない人が多いのではないでしょうか。

特に、大規模修繕のような、多くの材料や多額の費用を使う工事では、書かれている数字の大きさに驚くはずです。
見積書は、費用に関わることでもあるので、しっかりと見極められるようポイントを押さえておきましょう。

大規模修繕での修繕箇所のチェックポイント

福岡県北九州市屋上防水の様子

大規模修繕の修繕箇所でチェックしたいポイントには、

・外壁
・屋根・屋上・バルコニー
・給排水設備

があります。
どれもチェックしたい箇所を知っておくと、自己診断の際にも役立ち、修繕の要否や費用の見当を付けやすくなります。

外壁

国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、外壁は、大規模修繕の中でも大部分を占める修繕箇所です。
紫外線や雨風に晒され続けるため、クラック(ひび割れ)や変色、塗膜やタイルの膨張などの症状が起こりやすくなっています。

クラックや膨張を放っておくと、建物内部に水が浸透し、躯体を傷めたり、外壁が落下したりする危険性を高めます。
補修方法は、塗装や張り替え、シーリングの打ち替えなどです。
大規模修繕の前に不具合が見つかった場合には、都度メンテナンスしておくと安心です。

屋根・屋上・バルコニー

屋根や屋上の防水層の傷みは、雨漏りの原因になります。
バルコニーの手すりや鉄部など、露出している部分が錆びていると、見た目が悪くなり、建物の印象に影響を与え兼ねません。

塗装している部分が変色したり、サビたり、チョーキング(白い粉をふく現象)を起こしていたりする場合は、修繕のサインです。

また、屋上やバルコニーは、防水層のチェックも大切です。
国土交通省の調査によると、床と屋根の防水工事は、大規模修繕の中で22%を占める工事とされています。

防水層は傷むと、躯体に雨水が侵入する恐れがあり、漏水や雨漏りにつながる危険性があるので注意が必要です。
補修方法には、塗装や防水層の張り替えなどがあります。

給排水設備

給排水設備は、築26〜33年前後で行われる、2回目の大規模修繕で増える修繕箇所です。
普段から点検できる水槽とポンプはもちろん、素人ではわかりづらい給排水管のチェックと補修を行います。

水槽の天板やパッキンは劣化していないか、ポンプや給排水管は腐食を起こしていないかなどがチェックポイントです。
専門的な知識が必要になる箇所なので、目視ではわかりにくい水槽内部や給排水管の中の状態については、専門家に依頼して確認しましょう。

大規模修繕での業者選びのチェックポイント

業者 2-min

大規模修繕のみならず、業者選びは工事を成功させるうえで最も重要な工程といってもいいでしょう。
業者の働きで、工事の仕上がりに差が出ます。

業者選びでは、

・建設業許可証を持っているか
・大規模修繕の実績はあるか
・居住者やトラブルの対応に慣れているか
・点検や保険などアフターフォローは万全か

といったポイントに注意してみてください。

建設業の許可を受けているか

建設業の許可とは、建設業を請け負う業者に必要な国や自治体からの許可を指します。
しかし、すべての工事や業者に必要というわけではありません。

建設業の許可が必要になるのは、請負代金が1,500万円以上の工事や、150平方メートル以上の延べ面積を持つ木造住宅、1件の請負代金が500万円以上の工事に限ります。
それ以外の工事を請け負う業者は、必要ありません。

しかし、建設業の許可は、専任の技術者がいる、労働環境が整っている、契約に関して誠実な業者であるということが、国から認められている業者でしか取得できません。

優良な業者に工事を依頼したいと考えている場合は、建設業の許可を受けている業者を選びましょう。
国や自治体から許可を取得しているかどうかは、業者のホームページで確認できます。

大規模修繕の実績があるか

大規模修繕の実績の要否も、工事の仕上がりに影響します。
実績があるというのは、単に社歴が長いということではありません。

大規模修繕の工事を請け負った数や、依頼者からの評価が大事です。
こちらも、業者のホームページ上で実績を公開している場合があるので、チェックしてみましょう。

また、業者が実際に修繕工事をしたマンションやビルを見学する方法もあります。

居住者やトラブルへの対応に慣れているか

大規模修繕は、居住者が実際に生活している場所で行う工事です。
オーナーや大家さんが、常にその場にいられるわけではありません。

よって、業者には、クレームが起きないよう居住者とコミュニケーションが取れる能力が問われます。
長期間に渡り、業者や職人などが建物を出入りすることに、ストレスを感じる居住者もいるでしょう。

また、工事には音やにおいも付きものです。
窓を開けられない日があったり、いつも通りの生活を過ごせなかったりします。
そのようなときに、配慮ある言動を取れるかが重要です。

職人の対応力を事前に知ることは難しいので、業者の顔である営業担当者の対応を判断材料にするといいでしょう。

点検や保険などアフターフォローは万全か

大規模修繕後の不具合に対応してくれるか、瑕疵保険に入っているかなども、事前にチェックしておきたいポイントです。

また、建物の近くに業者があると、何かあったときの対応が早くなるケースがあります。
地域で評判がいい業者に依頼するのもメリットになります。

大規模修繕での見積もりのチェックポイント

見積書-min

見積もりとは、工事の金額や量、期間などが書かれた概算書のことです。
大規模修繕はほかの工事とは異なり、使う材料も多く、金額も高くなります。
見積もりを普段からよく見るという人も少ないので、その妥当性が判断できない人もいるのではないでしょうか。

ここでは、

・工事項目
・数量と単価
・材料の種類やメーカーの名前
・金額

など、大規模修繕の見積もりでチェックしたい4つのポイントを紹介します。

工事の項目は詳しく書かれているか

工事の項目とは、工事する箇所や内容のことです。
大規模修繕では、劣化診断や長期修繕計画、図面、入居者や管理者の意向などを参考に決めます。

詳しく書かれていないと、どのような工事をするのかわからず不親切な印象です。

数量や単価が詳しく書かれているか

材料の数や単価が「一式」とだけ書かれているケースは、要注意です。
数量や金額を少なく見積もっていることも考えられ、追加費用として後々請求されるケースがあります。

見積もりを読んでわからない部分があれば、その場で質問できるようにしましょう。

使用する材料やメーカーの名前が書かれているか

材料は、使う量やグレードで金額が変わります。
明細が書かれていないと、希望していない低いグレードの材料が使われることになっていても気づけません。

また、書類上では少なく見積もり、のちのち追加工事として金額を上乗せしようとする業者もあるため、注意しましょう。

金額は正しいか

正しい金額が書かれているかも、重要なチェックポイントです。
数量や単価、材料のメーカー、グレードなどが書かれた見積もりは、計算がしやすいので、確認しやすいでしょう。

また、業者選びに欠かせない相見積もりもしやすくなります。

大規模修繕を成功させるために押さえたいポイント

最後に、

・定期的に長期修繕計画を見直す
・相見積もり
・業者と入居者とのコミュニケーションを欠かさない
・修繕費用の相場を調べておく

といった、大規模修繕を成功させるために押さえたいポイントを紹介します。

定期的に長期修繕計画を見直す

大規模修繕の計画表である長期修繕計画は、定期的に見直しましょう。
長期修繕計画には、大規模修繕を実施する時期を始め、工事項目、費用などが盛り込まれます。
国土交通省は、5年ごとの見直しを推奨しています。

劣化症状やその進行速度などは、環境やメンテナンスの頻度、方法などに影響を受け、当初の計画通りに工事できることが稀です。
よって、定期的な見直しが必要になります。

また、計画を立てたときよりも物価が上昇し、材料費や人件費が上がることも考えられます。
定期的に見直せば、修繕箇所や費用について、現状に合わせた工事が計画できるでしょう。

相見積もりする

相見積もりとは、同じ工事内容で、数社から見積もりを取ることを意味します。
1社だけだと、工事内容や費用、材料などが妥当なのかわかりません。

2〜3社の見積もりを比べることで、見積もりの内容の妥当性がわかります。
相見積もりすることで、費用を抑えて質のよい工事を行う業者が選べるでしょう。

業者と入居者とのコミュニケーションを欠かさない

クレームが起きないよう、日頃から入居者や現場にいる職人から意見を聞く体制を整えましょう。
不安や不満を聞き出したり、トラブルを解決したりするのは、居住者への配慮につながります。

工事の始まりと終わりにだけ顔を出すのではなく、時間を見つけて現場に顔を出すのも方法です。

修繕費用の相場を知っておく

費用相場を知っておくと、修繕積立金が足りるか足りないかがわかって対策しやすくなります。

国土交通省の調査によると、1回目の大規模修繕の戸あたり工事の費用平均は、100万円です。
これに、お持ちの建物の戸数をかけると、だいたいの費用相場が出せます。

チェックポイントを押さえて大規模修繕に臨もう

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大規模修繕を成功させるには、どんな点に気をつけて工事すべきなのか知っておく必要があります。
費用の面や、工事の仕上がりに影響を及ぼします。

この記事で紹介したチェックポイントを参考に、大規模修繕に臨みましょう。